睡眠薬をやめるには
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ばくさん
ずっと薬を飲むのって大丈夫なのか?
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かいばあちゃん
うーん。ぐっすり眠れない気がしてね...
国際的に日本人は睡眠薬を怖がることで有名だといわれます1)。服用する薬の量や種類の多さや長期服用などへの不安はもちろん、服用を始めると今度は断薬がとても難しくなるという側面も見られます。なぜ、睡眠薬はやめにくいのでしょうか? それを難しくしているのが、睡眠薬を少しでも減らすと寝つきが悪くなったり、熟睡感がなくなったりするのではないかという不安。そんな「断薬恐怖症」を克服するためのポイントをご紹介します。
当たり前ですが睡眠薬をやめるには不眠症を治しておく必要があります。処方された睡眠薬を正しく服用し、しっかり効果を引き出して、よく眠れた体験を積み重ねることが大切です。しかし、問題は何をもって「不眠症が治った」と判断するのか? ということ。「不眠が完全になくなり、朝までぐっすり眠れるようになることでしょ?」と考える方は多いものですが、それは少し違います。不眠が完全には消えず、夜中に一度や二度の目覚め(ウツラウツラ)が残っていても、日中の眠気や疲労感、イライラなど、不眠がらみの体調不良が改善し、元気に過ごせる時期が2、3カ月以上続いていれば不眠症が治ったと考えて良いのです。つまり「夜よりも昼間の調子」が判断の基準になります2)。
歳を重ねてリタイア世代になると睡眠の質が落ちてくるため、若い頃のように朝までグッスリ8時間眠ることは基本的にはできないもの。65歳の方では生理的な睡眠時間は6時間といわれています3)。「あの頃は良かった」という思いにとらわれて、昔のような眠りを求めてしまうと睡眠薬離れは難しくなります。「ほどほど眠れば良い」をゴールとする、それが減薬の前提と考えましょう。
眠れない、その悩みは一人で長くかかえずに、身近な専門家に相談しましょう。
- 1)三島 和夫. 日本人における睡眠薬の使用実態とその問題点に関する研究, 厚生労働科学研究費補助金・長寿科学総合研究事業「高齢者に対する向精神薬の使用実態と適切な使用方法の確立に関する研究」平成20~22年度総合研究報告書, P.165-188, 2011
- 2)睡眠障害国際分離第3版, ライフサイエンス, P.3-15, 2018
- 3)Meta-Maurice M Ohayon, et al. Analysis of Quantitative Sleep Parameters From Childhood to Old Age in Healthy Individuals, Developing Normative Sleep Values Across the Human Lifespan, SLEEP, 2004; 27(7), 1255-1273, by permission of Oxford University Press
3)は海外データです。