「潜在的睡眠不足」にご用心
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りょうくん
日中、眠くないけど授業に集中できないんだ…
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あんちゃん
あら、ノートが落書きだらけじゃない!
あなたは自分に本当に必要な睡眠時間を知っていますか? 「昼間に眠くないから今の睡眠で大丈夫」と、寝不足は自覚できると信じている方も多いもの。しかし、必要な睡眠時間は気づかずに不足していることもあるのです。そこで、自分が十分に眠っているかを知るための実験方法をご紹介しましょう。
しっかり眠気が来てから、遮光カーテンを引いた個室で、目覚ましはかけず、耳栓をします。その状態で自然に目覚めるまで、さらに、二度寝もできなくなるまで眠って合計の睡眠時間を出します。それを過去1週間の平均睡眠時間と比べてみてください。例えば実験で10時間眠った人の過去平均が8時間だった場合、その差は2時間となります。これは「睡眠リバウンド」といって、睡眠不足度と強い相関があるとされています1)。もし睡眠リバウンドが3時間以上ならふだん眠気を感じていなくても、慢性的に睡眠不足の可能性があり、睡眠習慣を改善する余地があるかもしれません。
でも、休日に寝だめできればいいのでは?という向きもあるでしょう。しかし本当に必要な睡眠がとれていないとインスリンや副腎皮質ホルモン等の内分泌機能など、心身の機能を完全には回復できないことが明らかになっています2)。隠れた睡眠不足は、自覚できないが故に対処行動をとらないため、疲労を十分に回復できず、心身への負担が長期間蓄積します。それが身体の不調としてあらわれれば、もう立派な“生活習慣病”。身体が求めている眠りが十分に満たされているか、改めて睡眠時間をチェックしてみましょう。
睡眠時間を見直し、それでも不調があるようでしたら、医療機関に相談してみましょう。
- 1)Kitamura S, et al. Scientific Reports. 2016 Oct 24635812
- 2)三島 和夫. 睡眠薬の適正使用・休薬ガイドライン, 医学書院, P.5-15, 2014