動物の睡眠時間から知る“快眠のヒント”
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りょうくん
毎日10時間寝てるけどまだ寝れるよ!
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かいばあちゃん
子供はいいわね。わたしもその頃に戻りたいわ
動物の睡眠時間には種類ごとに大きな差があるのをご存知ですか?グラフに示したようにゾウやウマの睡眠時間がわずか2時間ほどなのに比べてネズミやハムスターは10~12時間という長さ。この違いは「酸素消費量」、つまり体重あたりのエネルギー消費量と関係しています2)。体は小さくてもエネルギー消費量が大きいネズミは大量のエサを食べても、どんどん消費してしまう、いわば燃費の悪いクルマ。だからエンジンを極力動かさない時間=睡眠が長くなり、一方ゾウは大型ダンプながら燃費に優れたエコカーだから長時間起きていても平気なのです。
さて、これを人間に当てはめるとどうなるか?呼吸や体温維持などの最低限のエネルギー消費である「基礎代謝」は例えば30歳の時の値を100とすれば、80歳では80ほどに減少します1)。興味深いことに、この減り方のラインが睡眠時間の減り具合とピッタリと重なるのです。ですから、歳をとって睡眠が短く浅くなるのは、エネルギー消費量の少ないエコな体に変化してきたのだと前向きにとらえれば、開き直れるかもしれませんね。
とはいえ、ぐっすり眠ってスッキリ目覚める熟睡感は恋しいもの。そのためには日々のエネルギー消費量を増やすことが大切。適度な運動習慣や食習慣によって、睡眠時間を長くはできなくても、深く、連続性の良い睡眠に役立つことが知られています3)。また、寝床で過ごす時間を長くし過ぎると、かえって睡眠が浅くなり、夜中に目覚めやすくなって、結果、熟睡感が得られなくなります3)。適切に睡眠時間が確保できているかは日中しっかり目覚めて過ごせているかも一つの目安。就寝時間と起床時間を見直すことも大切です。
加齢とともに増える睡眠の悩み。生活を見直しても不調があるようでしたら、医療機関に相談してみましょう。
- 1)厚生労働省. 日本人の食事接種量と基礎代謝表, P.45
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/dl/s0529-4e.pdf (最終閲覧日:2024年7月22日) - 2)Zepelin H, et al. Brain Behav. Evol. 1974; 10, 425-470
- 3)厚生労働省. 健康づくりのための睡眠ガイド2023, P.26
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/suimin/index.html (最終閲覧日:2024年7月22日)
2)は海外データです。