不眠症の治療

不眠症による夜間の不眠症状や日中の不調(日中の倦怠感や眠気などの日中の機能障害)は、
適切な治療により改善が期待できます。ただし、自己流の対処は治らないばかりか症状の悪化を招いてしまう可能性もあるため、
医師の指導のもとで治療を行うことが大切です。

1 不眠症の治療とは1)

不眠症の治療とは、夜間の不眠症状とそれに伴う日中の不調の改善を目的とします。睡眠衛生指導に基づいた生活習慣、睡眠環境の見直し、睡眠薬による薬物治療の3点を柱とし、状況に応じて認知行動療法なども行います。

2 不眠症の治療の流れ

不眠症の治療は下に示すアルゴリズムに沿って進められます。

不眠症の治療アルゴリズム

睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドラインー出口を見据えた不眠医療マニュアルー」P8を元に作成

2-1 症状や生活習慣などを伝える

診察時の問診の場では夜間の不眠症状のパターンや程度、日中の不調、1日の睡眠時間、生活習慣などについて医師に伝えましょう。これらの情報に基づいて医師は治療が必要かどうか判断します。

2-2 まずは睡眠衛生指導から

不眠症の治療は睡眠衛生指導から始まります。医師の指導のもと睡眠に関する正しい知識を身につけつつ、不眠につながっていた可能性のある生活習慣や睡眠環境の見直しを行います。

2-3 必要に応じて薬物治療も

睡眠衛生指導とともに必要に応じて睡眠薬による薬物治療を行います。薬の効果がなかったり、限定的な場合は、カウンセリングで不眠の改善を図る認知行動療法(CBT-I)を行うこともあります。

2-4 不眠症状や日中の不調が改善すれば薬を減らす

睡眠薬で治療している場合、生活習慣や睡眠環境が良好に保たれ、夜間の不眠症状や日中の不調がなくなったら、徐々に薬の量と服用回数を減らしていきます。認知行動療法を並行することもあります。薬の減量は決して自己判断では行わず、医師の指示に従ってください。

2-5 休薬後も症状がない状態が続けば治療終了

睡眠薬を中止しても、不眠症状がなく安定した状態が保たれていれば治療終了となります。治療終了後も規則正しい生活習慣や良好な睡眠環境を維持していくことが大切です。

3 まとめ

睡眠薬による治療を行うにしても、生活習慣の見直しなど睡眠衛生をおろそかにしたままでは、期待するような効果が得られないこともあります。不眠症の治療は医師の指導のもと、正しい流れで行うことが大切です。睡眠の悩みのある方は、まずは医師に相談してみましょう。

  1. 1)三島和夫編集:睡眠薬の適正使用・休薬ガイドライン. じほう, P.37, 2014