睡眠障害や不眠症を
引き起こす精神疾患と
身体疾患について

生活習慣病などの身体疾患(からだの病気)や、うつ病などの精神疾患(こころの病気)は、
しばしば不眠症(注1)を合併しますが、
睡眠障害・不眠症がそれらの病気の引き金となることがあります1)

  1. 注1: 不眠症とは、入眠障害(寝つきが悪い)・中途覚醒(眠りが浅く途中で何度も目が覚める)・早朝覚醒(早朝に目覚めて二度寝ができない)などの不眠の症状が続き、そのために日中に倦怠感・意欲低下・集中力低下・食欲低下などの不調が出現する病気です2)

1 不眠の原因となる様々な病気

不眠には様々な原因がありますが、病気も不眠の原因の一つです。米国で行われた調査によると、病気のない人と比べ、病気を持つ人では睡眠障害(注2)を 引き起こす頻度約2倍であったとされています3,4)

不眠をきたす主な病気としては、以下に示すような身体疾患や、精神疾患が知られています2,5)

身体疾患(からだの病気)の例

身体疾患※1


(からだの病気)

高血圧、高血圧や心臓病(胸苦しさ)、呼吸器疾患(咳・発作)、腎臓病・前立腺肥大(頻尿)、糖尿病、関節リウマチ(痛み)、アレルギー疾患(かゆみ)、脳出血、脳梗塞 など

精神疾患(こころの病気)の例

精神疾患※2


(こころの病気)

うつ病、双極性障害、統合失調症、パニック障害、全般性不安障害、心的外傷後ストレス障害 など

  1. ※1 厚生労働省 e-ヘルスネット「不眠症」
    https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-001.html (最終閲覧日:2023年7月24日) を元に作成
  2. ※2 内山 真 ら. 精神神経学雑誌, 122(9), P.899-905, 2010 を元に作成
  1. 注2: 睡眠に関連した多種多様な病気の総称を睡眠障害といいます。睡眠障害には大きく分類すると、不眠症・過眠症・睡眠時随伴症があり、最も多いのが不眠症です6)

2 睡眠障害が病気の原因となることもある

身体疾患や、精神疾患は睡眠障害の原因となるだけでなく、睡眠障害によって様々な病気が引き起こされることもあります。例えば、不眠症がうつ病の発症リスクを2倍に高めること(海外データ)7)や、入眠障害や中途覚醒を訴える人の約40%が高血圧を発症していたこと8)などが報告されています。そのため、良質な睡眠習慣を維持することは重要となります。

「身体疾患」と「精神疾患」は、「睡眠障害」と相互に影響していることを表している図

Kamath J, et al. Psychiatr Clin North Am. 2015 Dec; 38(4): 825-841.を 元に 白濱 龍太郎先生 作成

睡眠障害は、併存する身体疾患や精神疾患(併存疾患)と相互に影響し合う関係にありますが、併存疾患を治療できたとしても必ずしも睡眠障害を改善するわけではありません。したがって、不眠の症状がある場合は、不眠自体の対策をとることも大切です。

3 睡眠障害と関連が深い病気とは

睡眠障害は糖代謝、脂質代謝、血圧調整に関わる様々な神経内分泌や自律神経機能の障害を直接的に引き起こすことなどが知られており9)、生活習慣病をはじめとする様々な病気と密接に関わっています。以下に示す病気は、睡眠障害と密接な関係がある主な病気です。これらの病気は、不眠症の原因となったり、あるいは不眠症によって発症リスクが高まったり増悪したりする可能性があることが報告7,8,10~22)されています。

睡眠障害と密接な関係がある主な病気リスト。「糖尿病」「高血圧」「透析」「心疾患」「関節リウマチ」「がん」「認知症」「うつ」

出典 7,8,10~22) を元に白濱 龍太郎先生作成

4 睡眠のことでお困りの方、気になる方へ

生活習慣病などの身体疾患(からだの病気)やうつ病などの精神疾患(こころの病気)は、睡眠障害と相互に影響し合う関係にあることから、睡眠のことでお困りの方、気になる方は、一度医療機関を受診することをおすすめします。

本Webサイトでは、不眠症の診断や治療についての解説ページや、睡眠に関する相談が可能な医療機関検索ページをご用意しておりますので、ぜひご活用ください。

  1. 1)厚生労働省 e-ヘルスネット「睡眠と生活習慣病との深い関係」
    https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-008.html (最終閲覧日:2023年7月24日)
  2. 2)厚生労働省 e-ヘルスネット「不眠症」
    https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-001.html (最終閲覧日:2023年7月24日)
  3. 3)Taylor DJ, et al. Sleep. 2007; 30(2), P.213-218
  4. 4)Foley D, et al. J Psychosom Res. 2004; 56(5), P.497-502
  5. 5)内山 真 ら. 精神神経学雑誌, 122(9), P.899-905, 2010
  6. 6)厚生労働省 e-ヘルスネット「睡眠障害」
    https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-027.html (最終閲覧日:2023年9月21日)
  7. 7)Baglioni C, et al. J Affect Disord. 2011; 135(1-3), P.10-19
  8. 8)Suka M, et al. J Occup Health. 2003; 45(6), P.344-350
  9. 9)三島 和夫 編集. 睡眠薬の適正使用・休薬ガイドライン, じほう, P.13-15, 2014
  10. 10)Rod NH, et al. Am J Epidemiol. 2011; 173(3), P.300-309
  11. 11)Kawakami N, et al. Diabetes Care. 2004; 27(1), P.282-283
  12. 12)Prejbisz A, et al. Blood Press. 2006; 15(4), P.213-219
  13. 13)Cukor D, et al. Nat Rev Nephrol. 2021; 17(3), P.147-148
  14. 14)Noda A, et al. Intern Med. 2006; 45(22), P.1273-1278
  15. 15)Sofi F, et al. Eur J Prev Cardiol. 2014; 21(1), P.57-64
  16. 16)Li M, et al. Int J Cardiol. 2014; 176(3), P.1044-1047
  17. 17)Pincus T, et al. Arthritis Rheum. 1999; 42(10), P.2220-2230
  18. 18)行岡 正雄 ら. 臨床リウマチ, 19(1), P.17-23, 2007
  19. 19)Palesh OG, et al. J Clin Oncol. 2010; 28(2), P.292-298
  20. 20)Sela RA, et al. Palliat Support Care. 2005; 3(1), P.23-31
  21. 21)Andrew SP, et al. Sleep. 2013; 36(7), P.1027-1032
  22. 22)Guarnieri B, et al. Dement Geriatr Cogn Disord. 2012; 33(1), P.50-58