早朝覚醒

「起きようと思っていた時間よりもかなり早く目が覚める」「早朝に目覚めて眠れない」といった悩みはありませんか?
このような悩みでお困りの場合は「早朝覚醒」の症状かもしれません。

更新日:2023/2/28

記事監修

滋賀医科大学医学部 / 精神医学講座 / 特任教授

角谷 寛 先生

1 早朝覚醒とは

本人が望む時刻、あるいは通常の起床時刻の30分以上前に目が覚めてしまい、その後、眠ることができない状態です。再び眠ることができたとしても、睡眠が浅く、熟睡感が得られません。

2 早朝覚醒の有症率

日本では20歳以上の一般成人の5.2%が早朝覚醒を経験していることが報告されています(図)。早朝覚醒も中途覚醒と同様に、加齢に伴って増加するタイプの不眠症状です1)

20歳以上の年齢階級別の不眠の夜間症状の有症率

【調査概要】全国から層化三段無作為抽出法により抽出した2559名に対し、2009年8~9月に面接調査を実施した。
n数(20~39歳 n=769、40~59歳 n=861、60歳以上 n=929)
降籏隆二ら:女性心身医学;19(1):103-109, 2014を元に作成

3 早朝覚醒の原因

早朝覚醒の原因は人によってさまざまですが、主なものを挙げます。

3-1 加齢の影響 + 寝床に入る時間が早すぎる

高齢になると若い頃にくらべて早寝早起きになります2)。下の表のように、眠れる時間も6時間程度3)と短くなるといわれています。ですから高齢者の場合、生活に支障がなければ早朝覚醒それ自体は病気とはいえません。

出典:厚生労働省健康局 健康づくりのための睡眠指針2014を元に作成

問題なのは、「早く目覚めてしまうなら、そのぶん早く寝て、若い頃のような睡眠時間を確保しよう」と思うことです。夜の8~9時に寝床に入っても、眠れる時間は一緒なので、目覚めがさらに早まるだけです。そこで日光を浴びると、体内時計がさらに前倒しになり、結果として病気といえるレベルの早朝覚醒に至る可能性があります。

3-2 精神的な問題

精神的なストレスや、日常的な緊張により早朝覚醒があらわれる場合があります。早朝覚醒はうつ病でしばしばみられる不眠の症状でもあり、熟睡感の不足や、早朝覚醒後の浅い眠りによる不快感を伴うことが多いのが特徴です4)

4 まとめ

早朝覚醒の症状がある場合は不眠の可能性が考えられます。生活に支障をきたしている場合には一度、医療機関に相談することをお勧めします。

  1. 1)降籏 隆二 ら. 女性心身医学, 19(1). P.103-109, 2014
  2. 2)内山 真 編集. 睡眠障害の対応と治療ガイドライン第3版, じほう, P.32, 2019
  3. 3)厚生労働省健康局. 健康づくりのための睡眠指針2014
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/suimin/ (最終閲覧日:2023年2月22日)
  4. 4)内山 真 編集. 睡眠障害の対応と治療ガイドライン第3版, じほう, P.73, 2019