3時半に目が覚めると、もう寝られない
睡眠の悩みはありますか
2つのパターンがあります。まず10年ほど前から、夜中の3時半に目が覚めるようになりました。初めのうちは1週間に1回あるかないかでしたので、「早起きになってしまった」くらいの感覚でした。しかし、だんだんと回数が増えてきて、最近は1週間のうち半分は3時半ごろに起きてしまいます。二度寝をしようと、ふとんに横になり目を閉じても、眠ることはできません。1時間おきに何度も目が覚めることもあります。寝たり起きたりの繰り返しで精神的に消耗し、起床するのは6時半ごろです。目覚めは悪く、気持ちも重いです。3時半に目が覚めて寝られないより、こちらのほうがつらく感じます。ただ、寒さなど季節的なことが影響しているのか、最近はこのパターンはありません。
3時半に目が覚めてしまうときとそうでないときとで何か違いはありますか
日中に普段とは違うイベントがあるなど、身体的、精神的にしっかりと疲れていると朝までぐっすり眠れます。たとえば先週、仲間とスキーに行ったのですが、体も疲れ、目も疲れ、あまり上手くはないので精神的な疲労もありました。本当に疲れ果てて、翌朝は6時まで夜中に一度も目が覚めることなく寝ていました。ぐっすり眠れた日はスッキリと起きられるだけでなく、体も心もしっかりとリセットされた感じがします。新しい1日を気持ちよくスタートさせることができます。
就寝時間を教えてください。また、その時間を遅くしようと考えたことはありますか。
就寝は22時ごろです。実際に寝る時間を遅らせたことがあります。そうしたほうが寝入るまでの時間は短かったです。ただ目が覚める時間は変わらず、3時半でした。睡眠時間が短くなるだけなので、今は遅らせようとは考えていません。
3時半に目覚めることが、日中の生活に影響を及ぼすことはありますか
たまに昼食の後に眠くなることはありますが、仕事に影響するほどではありません。早く目が覚めたからといって、日中の生活に支障を感じることはないです。
子どものように、ぐっすり眠りたい
Y.Kさんにとっての理想の睡眠を教えてください
子どものようにぐっすり、長く眠りたいという願望があります。睡眠時間は7時間以上、5時ごろまで寝られるのが理想です。3時半に目が覚めると、二度寝はできないのですが、体の疲れはとれています。睡眠の質自体は悪くないと思います。ただ、暗いうちに目が覚めるからなのか、日付が変わっていない感じがするというか、まるで昨日の自分のままであるかのように、何となくモヤモヤします。
日中の生活に支障がなく、疲れもとれているのに、なぜ子どものように寝たいと思うのですか
5時、6時くらいまで寝ていられる日は、昨日の私から今日の私にしっかりリセットされ、気持ちよく1日を始められます。3時半起きだと、まだ昨日の感覚が残っているにもかかわらず、これから始まる長い1日を思って気が重くなります。睡眠時間が短いと健康に悪い、という話もよく見聞きします。肌に悪影響をおよぼさないか、シミやクマの原因にならないか、どうしても不安を感じてしまいます。また、私は子どもと関わる仕事をしているのですが、睡眠時間や質の良し悪しが、子どもの成長に深く関わっていることを目の当たりにしています。寝る子は育つといいますが、まさにその通りです。体はもちろん、心の発達にも影響しますので、子どもの睡眠の状態は常に気にかけています。このような環境に身を置いているせいか、自分ごとにしがちというか、睡眠について少し神経質に考えすぎていたかもしれません。
睡眠の悩みで病院を受診しようと考えたことはありますか
ありません。10年前よりも3時半に目が覚めることは増えていますが、毎日ではなく、心身ともに疲れて朝までぐっすり寝られる日もあるからです。睡眠薬を服用している知り合いもいますが、私自身は薬を使おうとか、使いたいと思ったことはありません。
専門家の話を聞き、悩みが軽くなった
より良い睡眠のためにご自身で取り組まれていることはありますか
カフェインの摂り方に気をつけています。コーヒーを飲むのは午後3時まで、夕食時もお茶ではなく白湯にしています。ほかにも、特別な日や場面を除き、極力お酒は飲みません。私は映画をよく見ますが、就寝前はスリリングで刺激の強い作品は見ないようにしています。スマートフォンを使うのも控えています。仕事で担当するイベントについてだったり、考えごとをするのも好きなのですが、夢中になって眠れなくなるので、寝る前はしないようにしています。日中はジョギングなど、意識的に太陽の光を浴びる、体を動かすことを心掛けています。ジョギングをしても3時半に目覚めてしまうことはあるのですが、しなかったときと比べるとより深く眠れるような感覚があります。あとはストレッチもしています。これは睡眠のためというより、体をほぐすことが目的なのですが、体も心もスッキリして結果的に寝つきも良くなります。
最近、睡眠の専門家の話を聞く機会があったそうですが、いかがでしたか
子どものように眠りたいという私の願望に対する先生の回答は、「睡眠時間は年齢とともに減ってくるのが普通。気にしなくてもよい」というものでした。寝なければいけないという強すぎる思いがあっただけに、先生の助言で肩の荷が軽くなりました。さらに、私より若い人たちの中にも、自分と同じような悩みを抱えている方が多くいることを知り、仕方がない一面もあると思えるようになりました。3時半に目が覚めたとき、以前は布団の中で「寝よう寝よう」と悶々としていることもありました。でも、結局眠ることができず、かえって疲れるだけ。先生の助言もありましたし、今は無理に寝ようとせず、ふとんから出るようにしています。最近は、早く目が覚めた日は好きなテレビドラマを見ます。長い1日を思って少し憂鬱な気分になることは以前と変わらずですが、前日に見られなかったドラマを見られて良かった、となるべくプラスに考えるようにしています。先生のお話でもう一つ印象に残っているのが、夜勤の方へのアドバイスです。昼夜逆転の生活で日中に熟睡するには、サングラスをかけるなどして、目に光を入れないことが大切だと話されていました。光が人間の体に影響を与えるということは何となく知ってはいましたが、専門家から直に聞くのは初めてで、あらためて勉強になりました。
現在の睡眠に対する考えをあらためて聞かせてください
睡眠は日々を健やかに過ごすために必要なものです。しかし、あまりに睡眠のことを気にしすぎてしまうと、日中の活動は眠るためのものと、本来とは真逆の関係になってしまいます。仕事をするのは眠るため。ジョギングするのも眠るため。周りの仲間もよく言っています。「もうリタイアしてもいいのだけど、寝られなくなるから仕事を辞められない」「昼間に動いておかないと寝られなくなる」と。加齢とともに睡眠時間が短くなるのは仕方のないことだと、頭では理解しています。気にしすぎがよくないこともです。ただ、日々家でのんびり暮らしているのに、夜はしっかり寝られるという方がいるとするなら、その方法を教えてもらいたいですね。
- 2024年2月エーザイ本社