中途覚醒

「夜中に目が覚める」「何度も起きてしまう」「起きたら再び眠れない」といった悩みはありませんか?
このような悩みでお困りの場合は「中途覚醒」の症状かもしれません。

1 中途覚醒とは

いったん寝入った後、翌朝起床するまでの間に何度も目が覚めてしまい、目が覚めるとその後寝付けなくなる状態をいいます。中途覚醒が頻繁に起こると、翌日の身体活動、精神活動にも影響が及び、日中の眠気が起こりやすくなります。

2 中途覚醒の有症率

不眠症の3タイプのなかでは中途覚醒の割合(有症率)が最も高く、日本では20歳以上の一般成人の15.2%が中途覚醒の悩みを抱えるとされます(図)。中高年(特に60歳以上)では中途覚醒の頻度(有症率)がさらに高くなります1)

20歳以上の年齢階級別の不眠の夜間症状の有症率

【調査概要】全国から層化三段無作為抽出法により抽出した2559名に対し、2009年8~9月に面接調査を実施した。
n数(20~39歳 n=769、40~59歳 n=861、60歳以上 n=929)
降籏隆二ら:女性心身医学;19(1):103-109, 2014を元に作成

3 中途覚醒の原因

中途覚醒の原因は人によってさまざまですが、主なものを挙げます。

3-1 加齢の影響

個人差はありますが、一般的に歳を重ねるにつれて睡眠は変化します。たとえば、深い眠りのノンレム睡眠が減り、浅い眠りのレム睡眠が増えるというのもその1つ。睡眠の持続が難しく、ちょっとした物音や尿意などでも目が覚めてしまうようになります。

3-2 精神的な問題

うつ病などの病気のほか、精神的なストレスや緊張が強い場合に中途覚醒が起こりやすくなります。

3-3 アルコール摂取(寝酒)

アルコールには神経細胞の活動を抑制する作用があるため、寝る前にお酒を飲むと寝つきはよくなります。でもその効果は長くは続かず、逆に夜間後半の眠りが浅くなり、中途覚醒が増えてしまいます2)

3-4 尿意で目が覚める(夜間頻尿)

先に述べたように、高齢になるとちょっとの物音でも目が覚めやすくなります。そのときに、「いまトイレに行っておかないと、あとで尿意のために目が覚めてしまうのではないか」という不安から、トイレに行くことを繰り返し、夜間頻尿になってしまう場合があります。

高齢者には、前立腺肥大症や尿路感染症などの泌尿器系の病気のある人がおり、それが夜間頻尿を引き起こしている場合があります。また、夕方以降の水分摂取が多すぎることもあります。頻尿が気になる場合は泌尿器科に相談してみましょう。

3-5 他の睡眠障害の影響

睡眠時無呼吸、むずむず脚症候群、足がピクンピクンと勝手に動く周期性四肢運動障害などの睡眠障害が中途覚醒の原因となっている可能性もあります。

4 まとめ

中途覚醒の症状がある場合は不眠症の可能性が考えられます。困っておられる場合には一度、医療機関に相談することをお勧めします。

  1. 1)降籏隆二ら:女性心身医学;19(1):103-109, 2014
  2. 2)厚生労働省健康局:健康づくりのための睡眠指針2014
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/suimin/ (最終閲覧日:2023年2月22日)