むずむず脚症候群
(レストレスレッグス症候群)

名前が示すとおり、脚がむずむずして眠れないという、睡眠障害の一つであるむずむず脚症候群について紹介します。

1 むずむず脚症候群とは

むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群とも呼びます)は、夕方から深夜にかけて、脚(主に足首から膝)に「ムズムズする」「痛がゆい」「虫がはっている感じ」といった不快で耐えがたい感覚があり、脚を動かしたいという衝動のために、眠りたくても眠りにつけない病気です1)

2 むずむず脚症候群の有病率

有病率は、日本人を対象とした調査では約1~5%2,3)と報告されています。女性より男性のほうが約2倍ほど多く、海外では加齢とともに有病率が高まる傾向がみられます1)

3 むずむず脚症候群の症状1,4,5)

  • 脚を動かしたいというつよい衝動に駆られ、しばしば異常感覚を伴います。
  • 横になっているときだけでなく、じっと座っているときに異常感覚が出現することもあります。
  • 脚を動かすと軽減・消失しますが、休んでいるとまたぶり返します。
  • 多くの場合、異常感覚は夕方から夜に出現・悪化します。
  • 寝床に入っても寝つけません。何とか眠れたとしても、夜中に目が覚めたときにまた異常感覚が生じ、再び眠ることが難しくなります。
  • 入眠困難、中途覚醒のために、朝の爽快感や熟睡感が得られず、日中の強い眠気(過眠)も出現します。
  • しばしば周期性四肢運動障害(次項参照)を合併します。

4 合併の多い睡眠障害:周期性四肢運動障害6)

寝入りばなや睡眠中に、脚が周期的にビクンビクンと勝手に動きます。眠ろうと思っても中々眠りに付けない「入眠困難」や、睡眠中の途中で目が覚めて再度寝ようと思っても中々寝付けない「中途覚醒」などの症状が出ます。また、その影響で夜に十分な睡眠が取れず、日中の過眠を引き起こす人もいます。

5 むずむず脚症候群の原因

はっきりとはわかっていませんが、神経伝達物質であるドパミンの働きの異常、ドパミンを作るときに必要な鉄分の欠乏などが関係しているのではないかといわれています1)

また、パーキンソン病、慢性腎不全(特に透析中)、関節リウマチなどの病気がある人や、妊娠中の人、カフェイン摂取の習慣がある人はむずむず脚症候群や周期性四肢運動障害になりやすい傾向があります4)

脚の異常感覚や、不快感があり眠れていないのに、眠れないから異常感覚が起こるのだと、原因・結果を取り違えている人も多いようです。脚の症状が続く場合は、医療機関に相談してみましょう。

6 むずむず脚症候群の対処法1,7)

①カフェインを控える

カフェインをとりすぎると、むずむず脚症候群になりやすくなったり、症状(脚の不快感)が悪化したりします。睡眠にも悪影響を与えますので、カフェインを含むコーヒーや紅茶、緑茶類などは控えるようにしましょう。

②寝酒はやめる

脚の不快感で眠れないからといって寝酒を飲むと、かえって症状が悪化しますし、睡眠の質も低下してしまいます。

③シャワーが有効な場合も

寝る前に脚にシャワーをかけると、適度な刺激によって症状がやわらぎ、寝つきやすくなる場合もあります。

④健康的で規則正しい生活を

散歩やストレッチなどで適度に体を動かし、一定の時刻に寝起きするなど、規則正しい生活を心がけましょう。

7 むずむず脚症候群の治療

ドパミン神経の働きを補う薬や神経の過剰な興奮を抑える薬が用いられます。鉄が不足している場合には、鉄を補います。

  1. 1)米国睡眠医学会.日本睡眠学会診断分類委員会訳. ライフ・サイエンス, p.213-219, 2018
  2. 2)Mizuno s, et al: Psychiatry Clin Neurosci 59(4): 461-5, 2005
  3. 3)Nomura T, et al: Sleep Biol Rhythm 6: 139-145, 2008
  4. 4)内山 真:睡眠障害の対応と治療ガイドライン第3版, じほう, p.234-235, 2019
  5. 5)厚生労働省 e-ヘルスネット
    https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-068.html(最終閲覧日:2022年11月7日)
  6. 6)内山 真 睡眠障害の対応と治療ガイドライン 第3版, じほう, p.238-239, 2019
  7. 7)三島和夫 監修:別冊NHKきょうの健康, NHK出版, p.90, 2022